2026/04/10 07:44



車に乗っていて、道路の段差や橋の継ぎ目を超えたときに「ドンッ」と腰に響くような衝撃を感じたことはありませんか?

この感覚は自動車評論や雑誌のレビューなどで「足回りの突き上げ感」と呼ばれています。

一見すると単なる「乗り心地の悪さ」のように思われがちですが、実はこの“突き上げ感”にはサスペンション設計やタイヤ特性、さらには車体構造など、複雑な要素が絡んでいます。今回はその正体を掘り下げ、どのように発生し、どんなクルマに現れやすいのかを解説します。


突き上げ感の定義

突き上げ感とは、路面の凹凸をサスペンションが吸収しきれず、車体へ直接的に衝撃が伝わる感覚を指します。ドライバーや同乗者にとっては「腰や背中に響く硬いショック」「車内がガタつくような揺れ」として体感されます。

本来、サスペンションは以下の役割を持っています。

1. 路面の凹凸を“いなす”

2. 車体を安定させる

3. タイヤを路面に密着させる

この調和が崩れると、路面からの入力が“ドンッ”と伝わり、これを「突き上げ感」と表現するのです。


突き上げ感の主な原因

突き上げ感が生まれる背景には、いくつかの要因があります。

1. サスペンションの硬さ

スポーツカーやサーキット志向の車は、スプリングやダンパーが硬めに設定されています。

硬いサスペンションはコーナリング時の安定性を高める一方で、細かい段差やマンホールの凹凸を吸収しにくく、衝撃をそのまま伝えてしまいます。

例:ホンダ S2000

→ リアがダブルウィッシュボーンで高剛性。段差を踏むと「ガツン」とした突き上げを強く感じるが、その分路面追従性が高く、ハンドリングは極めてシャープ。


2. タイヤの特性

偏平率の低いタイヤ(35や40などの扁平タイヤ)は、タイヤ自体のクッション性が少なく、突き上げ感を強めます。逆に、偏平率の高いタイヤは「タイヤがサスペンションの一部」となって衝撃を吸収します。

例:プリウスやアクア

→ エコカー向けに硬めの低転がり抵抗タイヤを装着していることが多く、意外と段差では「ゴツッ」とした感触がある。


3. 車体剛性と重量

軽量な車は車体全体で衝撃を吸収しにくく、結果的に突き上げを感じやすい傾向があります。

一方で重量のある高級セダンは、シャシーの剛性や遮音・制振材によって衝撃を分散・吸収するため、同じ段差を越えても「トンッ」とまろやかな感触になります。

例:クラウンやレクサスLS

→ 大きなホイールを履いても突き上げが和らいで感じるのは、重量とボディ剛性のおかげ。



突き上げ感と乗り心地の関係

「突き上げ感=悪い」と考えるのは早計です。

突き上げ感が強い車

→ 路面状況が手に取るようにわかり、ドライバーとの一体感が強い。スポーツカーに好まれる。

突き上げ感が少ない車

→ 長距離移動でも疲れにくく、快適性を重視した車に多い。

つまり突き上げ感は、**その車が目指すキャラクターを象徴する“味付け”**だとも言えます。


突き上げ感を改善する方法

もし「突き上げがきつくて疲れる」と感じた場合は、以下の工夫で改善できます。

1. タイヤの見直し

偏平率を少し上げるだけで、クッション性が増して大きく改善される。

2. ダンパーやスプリング交換

社外品の車高調は、減衰力調整機能で快適性を取り戻せる場合がある。

3. シートの工夫

純正シートから柔らかめのシートに交換するだけで、体感上の突き上げが和らぐこともある。


まとめ

足回りの突き上げ感とは、サスペンションやタイヤが路面の衝撃を吸収しきれず、車内に伝わる感覚のこと。

その要因は、サスペンションの硬さやタイヤ特性、車体剛性などが複雑に関わっています。

スポーツカーは「突き上げ感」をあえて残して路面との一体感を重視

高級車は「突き上げ感」を徹底的に排除し快適性を追求

つまり突き上げ感は「悪」ではなく、車のキャラクターを形づくる重要な要素なのです。