2025/12/05 15:36

「このガソリンスタンドで入れると車がよく走る気がする」
「逆にあそこのスタンドでは重い感じがする」
車好きの間で語られる話ですが、本当にガソリンスタンドによってパワーが変わるのでしょうか?

今回は燃料の規格、添加剤の違い、心理的要因に加え、気温や路面の条件が体感に大きく影響している可能性について整理してみます。

ガソリンはどこでも同じ品質?
日本国内で販売されるガソリンはすべて JIS規格 で管理されています。
* レギュラーガソリン → オクタン価89以上

* ハイオクガソリン → オクタン価96以上

この基準を下回るものは販売できません。つまり、どのスタンドで給油しても、基本的な品質や性能は同じです。

違いを感じる理由 ― 添加剤
ただし、各石油会社は独自の 添加剤 を配合しています。
石油元売り会社(ENEOS、出光、コスモ、Shellなど)は
それぞれ独自の添加剤を燃料に加えています。代表的な効果は以下の通りです。
* 清浄剤(カーボン除去)

* 潤滑剤(燃料系の摩耗防止)

* 酸化防止剤(ガソリン劣化防止)

特にハイオクガソリンはブランドごとの特色が出やすく、エンジンの状態次第では「走りが軽い」と感じることがあります。

本当にパワーが変わるのか?
カタログ上の出力が変わるわけではありませんが、以下の条件下では体感に差が出ることがあります。
1. エンジンが汚れている場合
 清浄剤の効果で燃焼効率が改善し、スムーズに感じる。

2. ノッキングが減る場合
 オクタン価の高さでノッキングが抑えられ、加速が滑らかになる。

3. 低速域やアイドリングの改善
 微妙な燃焼の違いで振動やレスポンスが変わる。


実は「気温」と「路面」の影響かもしれない
「スタンドによって走りが違う」と感じるとき、実はガソリンそのものではなく 外部環境の違い が体感を生み出しているケースもあります。
1. 気温の影響
* 気温が低いと吸気温度も下がり、エンジンにより多くの酸素が取り込まれます。
 → 燃焼効率が上がり、パワーが出やすい。

* 逆に暑い日は空気が薄くなり、トルク感が落ちる。

同じガソリンでも「寒い朝に走るとパワフル」「昼の炎天下だと重たい」と感じるのは自然な現象です。
2. 路面の影響
* アスファルトの温度や路面状態で、タイヤのグリップ力 が変化。

* グリップが高いと加速感が良くなり、「エンジンが元気」と錯覚しやすい。

* 路面が荒れていたり滑りやすいと、同じ加速でも力が逃げるように感じてしまう。

つまり「ガソリンを変えたから走りが違う」のではなく、気温や路面が違う日だっただけ という可能性も十分にあるのです。

心理的な影響も大きい
さらに人間は「高いガソリンを入れたから調子がいいはず」という思い込みで走りを評価してしまうこともあります。

この心理効果は無意識に作用するため、ブラインドテストをすると多くの人は違いを判別できないといわれています。

まとめ
* 日本のガソリンは JIS規格で統一されており、基本性能は同じ

* 違いを生むのは 添加剤・エンジン状態・心理的効果

* そして見逃せないのが 気温と路面条件
 → 気温が低いとパワー感が増し、路面のグリップ次第で加速の印象も変わる

結論:
「スタンドによってパワーが違う」と感じることはありますが、それは 燃料の違いだけでなく、環境条件や人間の感覚が絡み合った結果 である可能性が高いのです。