2025/04/13 20:30

なぜ製造業は敬遠されるのか?
日本の製造業は、かつて「世界の工場」として繁栄しました。しかし、近年は「きついのに給料が低い」というイメージが根付き、若者を中心に製造業を敬遠する流れが加速しています。
この現象の背景には、以下のような要因があります。
• 低賃金・長時間労働:技術職でありながら、給与が見合わない企業が多い。
• 単調な作業:流れ作業やルーチンワークが中心で、創造性を発揮しにくい。
• 成長の実感が薄い:最新技術に触れられず、キャリアアップが難しい。
• 企業文化の古さ:年功序列や硬直した組織体制が、新しい発想を活かしにくくしている。この結果、「せっかく工学を学んだのに、別の業界に進もう」と考える人が増えています。特にIT業界など、自由度が高く高収入が見込める分野への流出が目立ちます。
所管ですが、正社員としてこれまで勤また来た会社は全て文化の古さは該当していました。
正直直ぐに嫌になりましたしとても不愉快でした。
しかし、全ての製造業がそうであるかと言えば、決してそうではありません。近年、製造業の中にも新たな価値観をもって経営を行っている企業が増えてきています。若い感性を取り入れ、柔軟な組織運営を行っている会社。古い慣習を打破し、技術者の意欲や創造性を引き出す取り組みをしている会社。そうした“例外的”な存在が、少しずつですが、業界の中にも芽生え始めていると感じます。
例えば、社員一人ひとりのアイデアを重視し、小さな提案でも積極的に現場に取り入れていく「現場主導型」の製造業。これらの企業では、年齢や年次に関係なく、優れた発想や提案が評価され、形にされる機会が多くあります。また、デジタル技術やIoTを積極的に取り入れている工場も増えており、「現場=アナログで古臭い場所」というイメージは、もはや過去のものになりつつあります。
また、給与体系や働き方改革に力を入れている会社も少しずつ出てきています。中にはフレックスタイム制やリモートワークの導入に挑戦している製造企業すらあり、これまでの“当たり前”を疑い、新しい働き方を模索する姿勢が見え始めています。こうした企業は往々にして、経営者が「現場出身」でありながらも、若い世代の考え方や時代の変化に柔軟に対応できる感性を持っていることが多いと感じます。
さらに注目すべきは、モノづくりを“エンタメ”や“デザイン”と融合させるような新しい業態です。製造=大量生産という概念にとらわれず、少量生産・高付加価値・オーダーメイドといった方向性に舵を切ることで、従来の工場とは異なる個性的な存在感を放っています。そこでは技術者が単なる作業員ではなく、「クリエイター」や「プロデューサー」としての役割を担っているのです。
そうした企業では、職場に活気があり、若い人がイキイキと働いているのが印象的です。誰かの命令で動くのではなく、自分の意志で考え、試し、結果を出す。まるでスタートアップ企業のようなスピード感で製品開発が進んでいく現場を目の当たりにすると、「製造業の未来はまだまだ明るい」と感じさせられます。
若者が製造業に魅力を感じるためには、「働くことが楽しい」「成長できる」「成果が報われる」といった実感が持てる環境が必要です。これらが揃えば、給料の多少に関係なく、やりがいを見出せるはずです。逆に言えば、どんなに給料が良くても、理不尽で無意味なルールに縛られた職場では、人は長く働けません。
製造業に新しい風を吹き込むのは、決して「特別な才能」や「革新的な技術」だけではありません。大切なのは、「こうだったらいいな」と願う気持ちと、「実現してやる」という行動力です。そうした個々の想いが重なり合えば、きっと製造業はもう一度“憧れの職業”としての地位を取り戻すことができるはずです。