2025/10/17 07:54



走行中のクルマに働く「空気の力」をコントロールするために欠かせないのがウィング。しかし、ただ「付ける」だけでは性能を発揮しきれません。

特に**取り付け位置の“前後”と“高さ”**は、車両の挙動に大きな影響を与える重要な要素です。

今回は、リアウィングの**取り付け位置(前寄り or 後ろ寄り)高さ(低い or 高い)**による空力の違いを分かりやすく解説します。



■ リアウィングの「取り付け位置」で何が変わるのか?


リアウィングは、通常トランクやハッチの上に取り付けられますが、その位置が前寄り(車体中心に近い)か、後ろ寄り(バンパー側に近い)かで空力のかかり方が大きく変わります


● ウィングを“前寄り”に取り付けた場合(トランク前方)

車体の重心に近い位置にあるため、リアのダウンフォースが発生しても車全体が自然に沈み込むような安定感が出ます。

回頭性(クイックな動き)を重視するセッティングに向いており、タイトなコーナーが多いコースでは効果的。

一方で、後輪のグリップ増加効果がやや薄れるため、リアが滑りやすくなることもあります。


● ウィングを“後ろ寄り”に取り付けた場合(トランク後端)

車体の最も後方に位置するため、テコの原理のように強くリアを押し下げる力が働きます。

高速走行時や大きなRのコーナーでリアの安定感が増し、直進性も高まる

ただし、過剰にダウンフォースをかけすぎると、フロントの荷重が抜けてアンダーステア傾向になりやすいです。



■ ウィングの「高さ」も空力効果に大きく関わる


リアウィングの高さも、走行性能に直接影響します。これは、ウィングがどれだけ“きれいな気流(クリーンエア)”を受けられるかに関係しています。


● 低めのウィング(車体に近い)

空気の流れが乱れている「ボディの影響下」に入ることが多く、ダウンフォースが発生しにくくなる

高速走行時でもあまり空力効果を感じられず、見た目重視のカスタムウィングに多い

ただし、車両全体の重心が下がるため、ある程度の安定性は確保できます。


● 高めのウィング(GTウィングなど)

ボディの影響を受けないクリーンな空気を受けられるため、より効率的にダウンフォースが発生

特にサーキットなどでの走行では、リアの踏ん張りが強くなり、トラクション性能が向上

空気抵抗(ドラッグ)が増えるため、最高速がやや落ちる可能性がありますが、それ以上にコーナリング性能と安定感がアップするケースが多いです。


■ まとめ:目的と走る環境で最適なウィング位置は変わる


ウィングの取り付け位置や高さは、単なる「見た目」ではなく、走りそのものに直結するセッティングパーツです。

クイックな動きやコーナリングの鋭さを狙うなら、やや前寄りで低めのウィング。

高速安定性やリアのグリップ強化を重視するなら、後方寄りで高めのウィング。


最終的には車両バランスとの兼ね合いになります。空力チューニングは**“前後の荷重バランス”をどう整えるか**がカギ。自分の走るステージ(街乗り、ワインディング、サーキット)を見極めた上で、ベストなポジションを見つけましょう。