2025/11/14 11:16

街を走っているスポーツカーやカスタムカーを見ていると、時々「ボンネットだけ黒い車」に出会うことがあります。純正ボディカラーに対して黒いボンネットは強いインパクトを持ち、見る人の目を引きます。特に白や赤、青といった鮮やかなボディカラーにブラックボンネットを組み合わせると、コントラストが際立ち、レーシーな雰囲気を演出することができます。
では、なぜ多くの人がボンネットを黒くするのでしょうか? 単なるファッションなのか、それとも機能的な意味があるのか。本記事では、歴史的背景から現代のチューニング事情、実用性や注意点までを掘り下げ、ボンネットを黒くする理由を解説します。
1. モータースポーツの歴史から生まれた黒いボンネット
黒いボンネットといえば、まず思い浮かぶのはモータースポーツです。1960年代から70年代にかけてのレーシングカーでは、ボンネットをマットブラックに塗装するケースが多くありました。その理由は「ドライバーの視界確保」にあります。
レースは炎天下で行われることも多く、ボディカラーが明るい場合、太陽光がボンネットに反射してフロントガラスに映り込み、ドライバーの視界を妨げることがありました。そこでボンネットを黒く塗装することで反射を抑え、安全性を高めていたのです。
日本のツーリングカーレースやラリーカーでも、この手法は一般的に使われました。その名残から「黒いボンネット=レーシー」というイメージが定着し、現在のカスタムカー文化にも受け継がれています。
2. カーボンボンネットの普及と象徴性
もう一つ大きな要因は「カーボンボンネット」です。カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)は非常に軽量かつ高剛性な素材で、重量のかさむ純正スチールボンネットを置き換えることで、車両のフロント荷重を大幅に軽減できます。
特にスポーツカーでは、フロントが軽くなることで旋回性能や加速性能が向上するため、チューニングの定番パーツとしてカーボンボンネットが普及しました。
カーボンはその素材自体が黒く、編み込み模様が特徴的です。塗装せずクリア仕上げにすれば、その模様を活かした「カーボンルック」としてアピールできます。これが「黒いボンネット=本格派」という印象をさらに強めています。
3. 見た目の迫力とカスタム性
黒いボンネットは、単純に「見た目の迫力」を増す効果もあります。
- ボディのカラーパターンに変化を与える
- 車高が低く見える視覚効果がある
- スポーツカーらしさを強調できる
特にホワイトやシルバーなど淡いボディカラーに黒ボンネットを組み合わせると、メリハリが生まれて精悍な印象になります。さらに、ルーフやトランクをブラックアウトしてツートーンに仕上げることで、デザイン的な一体感を演出することも可能です。
4. 実用的なメリット
メリット
- 太陽光の反射防止
特にフロントガラスの写り込みを気にする場合、黒いボンネットは効果的です。 - 放熱効果
黒は熱を吸収する性質があります。エンジンルーム内の熱を効率的に放散するのではないか、と期待する人もいます。 - メンテナンス性
小傷や飛び石跡が目立ちにくい点も好まれる理由のひとつです。
5. 最近のトレンドとアフターマーケット
近年は純粋なカーボンボンネットに限らず、「カーボン調ラッピング」や「部分的なブラックアウト塗装」も人気です。これにより比較的低コストで見た目を変えられ、車両全体のイメージチェンジを楽しめます。
また、メーカー純正でブラックボンネット仕様を採用するケースも増えています。たとえばスバルWRXやトヨタGRヤリスなど、走りを意識したモデルではブラックアクセントが標準採用され、スポーツ志向をアピールしています。
