2025/05/23 07:46

クルマ好きの間でよく話題になるのが、「NAエンジン(自然吸気エンジン)は楽しい」という話です。ターボやスーパーチャージャーが搭載された車ももちろん魅力的ですが、NAエンジンにはそれとは違った、シンプルながら奥深い楽しさがあります。
本記事では、「高回転まで自分でアクセルを踏み込む楽しさ」と「アクセルコントロールで車の状態をコントロールできるレスポンスの良さ」という2つの視点から、NAエンジンの魅力を掘り下げていきます。
高回転まで自分でアクセルを踏み込む楽しさ
エンジンを「回す」喜び
NAエンジン最大の魅力のひとつが、高回転まで自分の意思でエンジンを回しきることができる点です。ターボ車では、ある程度の回転数に達すると過給機が働き、エンジンの出力が一気に上がります。一方、NAエンジンは過給機の助けを借りず、エンジン自体の力で回転数を上げていくため、スロットルの開け方やシフト操作がダイレクトに加速に影響します。
アクセルを踏み込み、エンジンが徐々に回転を上げていく過程は、まさにクルマと一体になる感覚。特にVTEC(ホンダの可変バルブ機構)や、BMWのNA直列6気筒などのように、ある回転域から一気に吹け上がるエンジンは、その変化を体感するのもまた楽しいポイントです。
「パワーバンド」を意識する走り
NAエンジンでは、パワーバンド(エンジンの力が最も出る回転域)を意識して走ることが重要です。例えば、ターボ車では低回転でも過給機の助けでトルクが出ますが、NAエンジンの場合は高回転まで回さないとパワーが出ません。そのため、適切なギアを選び、エンジンを回してパワーバンドに持ち込むことが、スムーズな加速には欠かせません。
この「エンジンをどう回すか」を考えながら走るのが、ドライビングの醍醐味のひとつです。サーキットやワインディングロードでは、常にパワーバンドをキープするようにシフトアップ・ダウンを繰り返しながら走ることで、クルマとの一体感がさらに高まります。
アクセルコントロールで車の状態をコントロールできるレスポンスの良さ
ダイレクトなスロットルレスポンス
NAエンジンのもうひとつの大きな魅力は、アクセルを踏んだときのレスポンスの良さです。ターボ車では、アクセルを踏み込んでから過給機が働くまでに「ターボラグ」と呼ばれる時間差があります。しかし、NAエンジンではアクセル操作に対するエンジンの反応がダイレクトで、踏み込んだ瞬間にパワーが伝わる感覚があります。このレスポンスの良さは、コーナリング時のアクセルワークにおいても重要な要素となります。例えば、タイトなコーナーを抜けるとき、少しアクセルを開けるだけでクルマの姿勢を整えることができ、細かい操作で車の動きをコントロールできます。
コーナリング時のアクセルワーク
ワインディングロードやサーキットを走る際、コーナリング中のアクセル操作が車の挙動を決めます。ターボ車の場合、アクセルを踏み込むと一気にパワーが出るため、コントロールがシビアになります。しかし、NAエンジンではアクセルを踏んだ分だけリニアにパワーが出るため、スムーズに車のバランスを調整できます。
アクセルワーク次第でアンダーステアを抑えることが可能です。この「アクセルで車をコントロールする感覚」こそが、NAエンジンならではの楽しさです。
ドリフトやテールスライドのコントロール性
NAエンジンのスロットルレスポンスの良さは、FR車でのドリフトやテールスライドのコントロールにも大きく影響します。ターボ車では、急にブーストがかかるとリアが一気に滑ることがありますが、NAエンジンならスロットルコントロールで細かく調整しながら車を滑らせることができます。
ドリフトだけでなく、軽いテールスライドを使ってコーナーを抜けるような走りでも、NAエンジンの特性が活きてきます。これは公道で無理にやるべきものではありませんが、クローズドコースなどで練習すれば、車を思い通りに操る感覚を磨くことができます。
まとめ
NAエンジンの魅力は、「高回転まで自分でアクセルを踏み込む楽しさ」と「アクセルコントロールで車の状態をコントロールできるレスポンスの良さ」にあります。
「クルマを操る楽しさ」を存分に味わいたいなら、やはりNAエンジンは外せない存在です。ぜひ、NAエンジンの車に乗って、その魅力を体感してみてください。