2025/03/10 21:37




多様化の副作用:世界が広がる嬉しさと、専門性が薄れるさみしさ


私たちは今、多様化が進む時代を生きています。情報、技術、価値観、仕事、趣味——あらゆるものが広がり、選択肢が増えました。かつては限られた道しかなかったのに、今では「これもできる」「あれもやってみよう」と可能性がどんどん広がっていく。これは、とても素晴らしいことです。


広がる世界、広がる視野


多様化は、私たちに新しい出会いや発見をもたらします。

ひとつの業界や文化に縛られず、さまざまな視点に触れることで、新しい価値観が生まれます。ある分野の常識が、別の分野ではまったく違うものとして機能していたり、異なる分野の知識が意外な形で結びついたりすることもある。多様な経験があるほど、発想の幅が広がり、柔軟な思考ができるようになります。


「世界が広がる」というのは、知識や人脈だけではなく、自分の可能性も広がるということ。新しいことに挑戦し、自分でも思ってもみなかった分野で成果を出すことができるのは、とてもワクワクする体験です。


専門性が薄れていくさみしさ


しかし、多様化には副作用もあります。

それは、「専門性」が薄れていくこと。


ひとつのことを極めるには、膨大な時間と努力が必要です。しかし、多様な選択肢に触れ続けていると、ひとつの分野に深く没頭する時間が少なくなってしまう。気がつけば「どれもある程度できるけど、突き抜けたものはない」という状態に陥ることもあります。


昔は「職人の世界」が尊ばれ、一つの技を何十年もかけて磨き上げることが当たり前でした。しかし、今は「専門的すぎると仕事が減る」「幅広い知識がないと生き残れない」といった風潮もあり、ひとつのことにこだわり続けることが難しくなっています。


本当はもっと極めたかった。もっと深く知りたかった。

でも、次々と新しい知識やトレンドが流れてくる。

結果的に、自分の「核」となる専門性が薄れていく感覚に、少し寂しさを覚えるのです。


広さと深さ、どちらを選ぶのか


では、広がる世界と専門性の両方をどうバランスさせるべきなのか?


きっと、それは個人の価値観によります。

「広く浅く」を極めれば、異なる分野をつなげる架け橋になれるかもしれないし、「狭く深く」を貫けば、誰にも真似できない価値を生み出せるかもしれない。


大切なのは、ただ流されるのではなく、自分なりの軸を持つこと。

多様化の時代においても、「これは絶対に譲れない」と思える専門性をひとつ持ち続けることが、個人の強みになるのではないでしょうか。


広がる世界を楽しみつつ、自分の根っこを忘れない

そんな生き方が、今の時代を生き抜くヒントになるかもしれません。